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海外調達プロジェクト 世界に、「TAKEUCHI基準」を
広められるか

  • 現地調達 / 現地生産体制
  • 品質とコストの両立

2022年、アメリカ・サウスカロライナ州で米国工場が操業を開始した。
特に現地で需要が高いクローラーローダーの生産台数を増やす目的で立ち上げられたこの工場の稼働開始は、竹内製作所にとって大きな転換点だった。
同時に、部品を現地で調達し、現地で組み立てる体制を整える——そんな新しい挑戦の機運が高まっていた。
つまりそれは、「TAKEUCHI基準」をアメリカへと輸出するプロジェクトの始まりでもあった。

MEMBERS
  • 購買部
    2021年中途入社
    愛知の大学に進学後、貿易関係の会社に就職。地元に戻りたい思いから、竹内製作所に入社。前職時代に培った経験と英語力を活かし、部品調達などの業務を担当する。
  • 開発部
    2004年新卒入社
    開発部にて機械系、電気系と経験を重ね、現在はショベルカーを中心に機種開発のプロジェクトリーダーを担当する。
SECTION 01

まず、異なる環境の国を知り尽くす

国が変われば、同じ部品でも材質や規格、価格、さらには文化や商習慣までも違う。
関税のような地政学的な要素も絡み、簡単に答えが出る話ではない。
そんな中で「現地で調達する」というのは、あらゆる条件を洗い出した上で、竹内製作所にとって本当に有益かを見極めることだった。

米国工場での生産台数が増える一方で、中長期的な為替変動リスクや部品調達のリードタイム長期化といった課題がありました。
現地調達に関しては、社内でさまざまな意見が出ましたが、米国におけるインフレ動向等の中長期的要因を踏まえ、価格面での妥当性が確認できる部品から順次検討を開始する方針で慎重に進めていくことになりました。
現地調達といっても、単に同じ部品を作っているサプライヤーを探すだけではありません。
私たちが設計した建設機械のパーツを、現地でイチから作るという意味での調達なんです。
たとえ価格が合っても品質が伴わなければ採用はできないので。
まずは当社の設計図をもとに試作してもらい、それを検査し、開発部や品質部と一緒に技術的な判断を行います。
もちろん、それだけで取引をスタートできるわけではありません。
価格、生産能力、品質に加えて、現地の人々の姿勢や、将来的に取引を続けられるだけの信頼性や資金力があるか。トータルで見て「一緒に歩める」と判断できて、ようやくスタートラインに立てるんです。
SECTION 02

過去の失敗を糧にして、再び挑む

サプライヤー候補となる企業の工場には、必ず足を運ぶ。ものの置き方や在庫管理の仕方を見れば、そこで働く人の姿勢がわかる。さらに、環境負荷への意識や、SDGsの観点から継続的な取引が可能かどうかも確かめる。
数字や言葉だけでなく、自分の肌感覚も大事にする。そこにはかつての経験があった。

実は以前にも、現地での部品調達に挑戦したことがあったんです。けれど、量産開始の直前にいくつかの要因が重なって、計画は頓挫してしまいました。それでも、為替リスクや関税の問題を乗り越えるには、現地調達にこそ希望がある。そう考えて再び挑戦することになりました。
過去に同様の取り組みで課題に直面していたとしても、環境は常に変化しています。だからこそ、現状を踏まえ改めてコストメリットの有無を慎重に検証しています。実効性のある検証でないと意味がないので、手間を惜しまず、何度も検討を重ねました。
現地視察に行った時、あるサプライヤーの工場で改善目標が壁に貼られていたんです。日本の企業のように前向きに努力する姿勢を感じて、「この会社は信頼できる」と思いました。
そうした一つひとつの積み重ねが、再挑戦の道を確かなものにしていったんです。
SECTION 03

コミュニケーションが目標への背中を押す

海外調達には、さまざまなリスクがつきものだ。
物流や為替のリスク、さらには新型コロナウイルス感染症のようなパンデミック——。
不確定な要素が多いからこそ、社内外とのコミュニケーションを絶やさないことが、プロジェクトを前に進める鍵になる。

日本とアメリカでは商習慣も違いますし、時差や言語の壁もあります。だからこそ、知識だけでなく、度胸や気持ちも必要です。日本語では遠慮してしまうようなことも、英語ではストレートに伝える。言葉が違っても、誠実さは必ず伝わると思っています。
新しいサプライヤーを選定する時には、購買部・品質部・開発部が一緒になって議論します。
開発部は設計や技術には詳しいですが、コスト面でどのサプライヤーが最適かはわかりません。その部分は購買部にお願いしてコスト面や納期面の最適解を見つけてもらっています。結局は、技術・品質・コストのバランスで決めることになりますから。
また、技術系以外の部門との連携も重要です。
契約書は内容を隅々まで精査した上で交わすことが必要なので法務部門のサポートも欠かせません。さらに、営業部門の意見も聞きますし、決裁を取るために経営陣とも話をします。バイヤーは部門も会社も国も越えて、さまざまな相手と交渉するポジションだと思っています。
SECTION 04

先は長いが、歩みは止めない

目指すゴールは、品質とコストの両立。
そして、現地での量産体制が安定的に動き続けること。
その道のりはまだ長いが、日々の小さな積み重ねが確実に未来へと繋がっている。

英語でやり取りしていて、「相手の意図が伝わった」「自分の考えを理解してもらえた」。そんな一見単純な出来事にも、大きな手応えを感じます。
特に難しい課題に直面した時、社内の仲間と力を合わせて乗り越えられた時の達成感は格別です。最終的には、生産ラインが安定して稼働し続けること。それが私たちのゴールです。
アメリカで安定した稼働を実現するには、まだ少し時間がかかります。
製品を作り始めたらちゃんと完成しているかどうかを確認しなければいけませんし、完成品は日本で試験しなければなりません。調達は部品が完成した後も続きますから。そういうところは大変だよね。
正直、今は考えたくないくらい大変です(笑)。でも、現地での量産体制が整い、自走し始めた時の喜びを想像すると、自然と力が湧いてきます。
その最終目的地に向かって、一つひとつ課題をクリアしていく過程にもやりがいを感じるからこそ、次の一歩を踏み出せるのかもしれません。